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シラユキ姫の話




「鏡さん、あなたはずっと私の友達でいてくれる?友達というのはね、決して裏切らないし嘘だってつかないの。見捨てたりするなんて論外よ。 どんな時も助けてくれるのが”本当の友達”よね?
私、そんな友達以外は要らないわ。うわべだけの関係も必要ない どうせ裏切るんですもの。私を裏切る人はみんな消えてしまえばいいのよ。…なにか間違ったことを言っているかしら?」

ボロボロに崩れた古城の近くの地下深く その声は決して外には届きませんでした。

その国は既に滅んでいました。
住んでいた人々は焼け焦げたように真っ黒なリンゴの木に体を串刺しにされて
残されたドワーフ達は、我を失った様子で暴れ回っています。

そんな誰も近寄らなくなった場所で大きな鉈を振り回し、ドワーフ達を斬り伏せては廃墟となった城を目指す者がいました。
赤い頭巾をかぶった女「赤頭巾」です。
彼女は悪人でも、善人でもありませんでした。
従者の獣の鎧の騎士「ワーウルフ」を連れて、この国の「支配者」を倒しにきたのです。

人々の命をおびやかす存在を退治に来たのでしょうか?

いいえ、そんな理由ではありません。
この城の地下に潜んでいる「支配者」の持っている「魔法の力」が目的でした。


なんと恐ろしい。 支配者を殺し、魔法の力を我がものにしようとしているのです


狩りを楽しむ獣のような彼女は、あまり殺戮に乗り気ではない従者を連れて支配者の元へ向かいます。
彼女を待ち受けていたのは何やら様子のおかしいお姫様、シラユキ姫でした。
地下に篭りっきりのため、肌は病的に白く、ぎょろぎょろとした目を爬虫類のように回しています。
どうやらドワーフ達を操っているのも、お城や国中の人間を殺してしまったのも彼女の仕業だというのです。

全ては「本当のお友達」の魔法の鏡の力でした。


魔法の力を手に入れた彼女は、仕返しとばかりに今までに自分を裏切った者達を殺し、更に無関係な国民や自分を助けようとしたドワーフ達をも手にかけたのです。
赤頭巾は彼女と戦い、徐々に追い詰めていきます
シラユキヒメが追い詰められた瞬間、魔法の鏡は諦めたような、使えないと言うかのような掌を返したような態度になりました。
そう、最初から魔法の鏡が仕組んだ罠だったのです。

母にひどい仕打ちを受け、部屋に閉じこもり本の中でしか友情というものを知らず、屈折した考えを持ってしまった姫はまんまと魔法の鏡の口車に乗せられて操られてしまったのでした。

少し頼りないけど、なんとか姫を解放しようとしたドワーフ達を見捨てて
鏡の魅力に囚われてしまったのです。
全てを知り、絶望した姫は赤頭巾に自分を殺すよう願い、赤頭巾は静かに承諾します。
姫を手にかけ 力を手に入れた赤頭巾は魔法の鏡に言いました。


「お前の創造主、魔法遣いはどこにいる?」


鏡はその問いに答える気はなく、しらばっくれるばかり。
業を煮やした短気な赤頭巾はついに魔法の鏡を粉々にしてしまったのでした。



魔法の力で支配されたものを殺し、その力を手に入れ 魔法遣いを探す女、赤頭巾。
そして獣の鎧を纏う従者、ワーウルフ 彼女らの長いお話が始まります。


sage

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